Switch2発売に伴う任天堂の転売対策まとめ ~認証強化とユーザーの反応~

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任天堂公式が講じた主な転売対策

My Nintendo Storeでの販売認証強化

任天堂は新型「Nintendo Switch 2」発売にあたり、自社の公式通販サイト「マイニンテンドーストア」で独自の抽選販売方式を導入しました。特に抽選応募者に対しゲームプレイ実績やオンラインサービス加入状況といった条件を課しているのが特徴です。具体的には、2025年2月末時点でSwitchソフトの累計プレイ時間が50時間以上あることや、Nintendo Switch Online(有料オンラインサービス)に1年以上継続加入していることなどが応募条件に含まれました。これらの条件を満たした既存ユーザーを優先的に抽選販売の対象とすることで、発売直後に新規アカウントを大量作成して購入を試みる転売業者やボットの排除を狙ったものとみられます。

さらにマイニンテンドーストアでは1人1台限定販売が徹底され、応募や購入にはニンテンドーアカウント(国/地域設定が日本)が必要とされました。加えて、任天堂は2025年3月25日より海外で発行されたクレジットカードや海外登録のPayPalアカウントの利用を国内向けストアで禁止する措置も実施しています。この決定は「不正利用防止の観点から」と公式に説明されており、実質的に海外転売業者が日本の公式通販を利用することを防ぐ対策と受け止められています。

国内専用モデルと多言語対応モデルの併売

Switch2では、日本国内向けに2種類のモデルが発売された点も大きな話題となりました。ひとつは「日本語・国内専用モデル」で、UI言語が日本語のみ対応し、日本のニンテンドーアカウントでしか利用できない仕様です。もうひとつは「多言語対応モデル」で、日本語を含む16言語に対応し海外アカウントでも利用可能ですが、価格が国内専用より2万円高い税込69,980円に設定されています。国内専用版は税込49,980円と抑えた価格で全国の販売店に流通しますが、多言語版は任天堂の直販(マイニンテンドーストア)限定で販売されました。

この価格差について任天堂から明確な説明はないものの、業界では「円安による海外価格高騰を国内ユーザーに転嫁しないため」と同時に「安価な国内版が海外に流出し転売されるのを防ぐ戦略」と受け取られています。実際、国内版を安価に提供しつつ、多言語版を海外価格に近い水準に設定することで、海外業者が日本版を大量買いして転売するインセンティブを減らす狙いがあると考えられます。機能面でも、国内版は日本語以外のソフトやサービス利用に制限(リージョンロック)の可能性が指摘されており、ハード面からも海外への横流し転売を抑制しようとする任天堂の本気度がうかがえます。

フリマサイトとの連携強化

任天堂はSwitch2発売直前の2025年5月27日付で、国内主要フリマサイト運営企業3社(メルカリ、LINEヤフー、楽天グループ)との協力を発表しました。公式リリースによれば、Switch2を含む任天堂関連商品の不正出品を防止する取り組みとして、各社と情報共有や出品削除対応で協力体制を築くことに合意したとしています。実際の対応策として、例えばLINEヤフー株式会社が運営する「Yahoo!オークション」「Yahoo!フリマ」ではSwitch2本体の出品を当面全面禁止とし、違反者にはアカウント停止など厳しい措置を取る方針が公表されました。楽天の「ラクマ」でも発売日までは同様に出品禁止とし、以降も状況を見て対応するとしています。メルカリも即時の全面禁止こそ打ち出していませんが、任天堂との協力のもとガイドライン違反商品の削除強化や関連情報の提供などに取り組むと表明しました。

保証制度の見直し

Switch2本体の保証対応にも転売対策の工夫が見られます。従来のSwitchでは本体同梱の物理的な保証書があれば保証期間内の無償修理が受けられましたが、Switch2では製品に物理保証書を付けず、修理依頼時に購入時の領収書(レシート)提出を必須化しました。任天堂は「保証を受けるには購入証明が必要」としており、領収書がない場合はたとえ初期不良でも無償修理不可(有償対応)になるといいます。このルール変更により、転売品(他人名義で購入された新品)を購入しても保証が受けられないリスクが生じます。事実、発売直後にはメルカリでSwitch2を転売する出品者が保証対応のため購入時のレシートを商品に添付しようとする動きも見られましたが、メルカリ規約上は領収書等の個人情報共有は禁じられており違反行為となります。ユーザーからも「任天堂は細かいところまで“罠”を仕掛けてきて凄い」と、この保証制度を含む転売ヤー封じの徹底ぶりに感心する声が上がっています。

小売店・通販サイトによる転売防止策

Switch2の販売に際して、任天堂公式だけでなく家電量販店やECサイト各社も様々な転売防止策を打ち出しました。共通して見られたのは、発売日当日の先着販売を避けた事前抽選予約制の採用と、応募者への会員認証や購入実績要件の設定です。

ヨドバシカメラの場合

ヨドバシでは公式通販サイト「ヨドバシ・ドット・コム」で抽選受付を実施し、応募条件として「ヨドバシ会員であること」に加え「直近1年間(2024年5月~2025年4月)で合計5万円以上の購入履歴」があることを求めました。これは常連顧客以外は抽選に参加できない仕組みで、過去に一切買い物実績のない新規アカウント(転売目的で作成されたもの等)を排除する効果があります。また当選後の購入は1人1台限りで、店舗受け取り時には本人確認を行うなど、購入者が応募者本人であることの確認も徹底されています(こうした本人確認は過去のPS5販売時にも同社が実施した実績があります)。

ビックカメラの場合

ビックカメラでは抽選販売を複数回に分け、初回(第1回)抽選では特に厳しい条件を設けた点が注目されました。第1回(4月下旬実施)では応募者に「ビックカメラ提携クレジットカード(ビックカメラSuicaカードなど)を所持していること」「2023年4月~2025年3月の2年間で合計3万円以上の購入実績」を必須条件とし、さらに応募受付時に写真付き身分証の提示も求めています。いわば同社クレカ会員の優良顧客だけを対象に実施した抽選販売で、抽選券入手のハードルを大幅に上げることで不特定多数の応募を絞り込んだ形です。第2回以降の抽選では条件がやや緩和され、公式アプリ登録や過去数千円程度の購入履歴があれば参加可能になるなど裾野を広げましたが、それでも会員登録や購買履歴のない一般ユーザーやBOTは応募できない仕組みを維持して転売屋を牽制しました。

Amazonや他の通販サイト

大手ECのAmazon.co.jpではSwitch2の商品ページ公開と同時に「招待販売」方式を採用しました。ユーザーは購入希望リクエストを送り、Amazon側から招待メールが届いた当選者のみが注文できる仕組みで、無制限の早い者勝ち販売を避けています。この方式は不特定多数の業者による買い占めを防ぐ効果があり、実際PS5などでも海外Amazonで用いられた転売対策手法です。楽天ブックスやゲオ、ヤマダ電機、エディオン等他の主要販売店でも、いずれもネットまたはアプリでの事前抽選予約を行い、各社ごとに自社会員向けの条件(例:〇〇会員登録済み、一定期間内に購入実績あり、メールマガジン購読必須 等)を設定するのが一般的でした。例えばヤマダ電機では抽選応募に「2025年4月までにデジタル会員本登録済み」「過去1年に店舗または通販で購入履歴あり」といった条件を課しています。このように各販売店が独自の認証フローで応募者を絞り込み、当選者以外購入できない体制を敷いたことで、発売日に行列を作っての買い占めや横流し転売を大幅に減らす効果が期待されました。

転売対策に対するユーザーの反応

任天堂および販売各社が総力を挙げて実施したこれらの転売抑止策に対し、ユーザーからは概ね好意的な反応が多く見られました。SNS上では「任天堂の本気の転売対策すごい」「真っ当なユーザーがちゃんと買える仕組みになっていて安心」といった声が多数寄せられ、発売直後には転売ヤーが思うように利益を上げられていない状況を歓迎するコメントも目立ちました。事実、Switch2発売日以降しばらくのメルカリ上の転売価格は一時的に定価を大きく上回ったものの、任天堂の施策や流通在庫の増加により相場は下落傾向を示しています。記事執筆時点(発売数日後)で確認できる転売出品は約5万9千円前後まで値下がりし、中にはほぼ定価同等の5万円を切る出品も現れるなど、手数料や送料を差し引けば転売業者側の儲けがほとんど出ない水準にまでなっています。SNSではこの状況に「ざまあみろ」「適正価格で行き渡っている証拠だ」と痛快がるユーザーも多く、転売目的の買い占めが大きなビジネスになっていない現状に安堵する声が広がっています。

一方で、こうした厳格な対策の裏で一部ユーザーからの不満や課題提起も噴出しました。例えば、日本在住だが母国語が日本語でないユーザーからは「日本語専用モデルでは遊べない。多言語版は2万円高いのは不公平では?」との指摘もありました。しかし任天堂は公式に「多言語で遊びたい方は多言語対応版や海外版の購入を検討ください」と案内しており、事実上この価格差を受け入れるしかない状況です。また、発売当初に抽選や招待に漏れて入手できなかったユーザーの中には「結局どこも品薄で買えない」「抽選条件が厳しすぎて参加すらできない」という不満も見られました。特にプレイ時間50時間や有料会員加入などの条件については、ライトユーザーや新規参入者にはハードルが高いため「ヘビーユーザー優遇すぎる」との声も一部にはあります。ただし品薄解消後には一般販売が行われる見通しであり、任天堂も「需要が安定した段階で通常販売に移行する」と示唆しています。実際、Yahoo!オークションなどでの本体出品禁止措置も「供給不足が解消され次第、解除する一時的なもの」と説明されており、これらの対策はあくまで発売直後の混乱期に限定した異例の措置であることが伺えます。

面白い動きとしては、SNS上で転売を擁護する意見も一部で話題になりました。あるユーザーは「転売行為自体は合法なのに、感情論で叩くのはおかしい」と主張し物議を醸しましたが、多くのユーザーからは「ユーザーの善意に付け込む行為だ」「市場の混乱を招いている」と厳しい反論が寄せられています。全体としては、任天堂や小売各社の努力により「Switch2は転売屋泣かせの状況になっている」という評価が支配的であり、発売当初に社会問題化したPS5の高額転売騒動に比べれば、比較的落ち着いたスタートを切れたとの見方が大勢を占めています。

他のゲーム機との比較と今後

他社ハードと比較すると、任天堂の今回の対策は極めて踏み込んだ内容と言えます。他の例として、ソニーのPlayStation 5発売時(2020年)は需要過多による深刻な品薄と高額転売が発生しましたが、対策の中心は販売店側での抽選販売や購入制限にとどまり、メーカー主導でプレイヤー認証や出品禁止まで行うことはありませんでした。ソニーも後に自社サイトでの招待販売や生産体制の強化によって徐々に転売問題を沈静化させましたが、発売直後からここまで包括的に転売抑止策を講じた任天堂のケースは異例です。例えばSwitch2のようにゲームプレイ実績まで考慮した優先販売や、言語・価格設定を変えて地域間転売を抑制する手法は、過去のコンソール販売では類を見ない大胆な試みと言えるでしょう。

もっとも、転売問題は人気商品の宿命とも言え、完全な撲滅は容易ではありません。任天堂自身、「不正転売の温床となる商品には今後も継続的に対策を講じる」としており、Switch2以降も同様の取り組みを続けていく姿勢です。一部では「この徹底ぶりを他のメーカーも見習うべきだ」「チケット業界など他分野にも応用してほしい」といった声も上がっており、今回のSwitch2転売対策はゲーム業界における一つのモデルケースとなりました。今後、供給が安定して抽選販売が終了する頃には転売も沈静化すると見られますが、発売当初の混乱を最小限に抑えた任天堂の本気度は、多くのユーザーから称賛をもって受け止められています。

参考文献・出典:

任天堂公式ニュースリリース
ファミ通.com
電撃オンライン
Yahoo!ニュース
Nintendo Life
Game Spark
GamerBraves


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もふもふ

プロフィール

著者
もふもふ
プログラマ。汎用系→ゲームエンジニア→Webエンジニア→QAエンジニア