前書き
PHPDoc は、PHPのソースコードにコメントとして記述するドキュメンテーション(文書化)スタイルのことです。
これは、関数、クラス、メソッド、プロパティなどに対する説明を記述するために使用され、コードの可読性やメンテナンス性を向上させるために重要です。
PHPDocは、Javadoc(Javaのドキュメントコメント) に似た形式を持っており、
一般的に /** ... */
のブロックコメントとして記述されます。
PHPDocの基本構造
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PHPDocで使われる主要なタグ
1. @param
(パラメータの説明)
関数やメソッドの引数を説明するために使用します。
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2. @return
(戻り値の説明)
関数の戻り値の型とその説明を記述します。
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3. @throws
(例外の説明)
関数やメソッドがスローする可能性のある例外を示します。
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4. @var
(プロパティの型情報)
クラスのプロパティの型を明示するために使います。
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5. @property
(動的プロパティの型情報)
マジックメソッド __get()
を使ってプロパティを動的に取得する場合に、型情報を明示するために使用されます。
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6. @deprecated
(非推奨のメソッドや関数のマーク)
古いメソッドや推奨されないメソッドに対して警告を出すために使用されます。
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7. @see
(関連する関数やクラスを示す)
関連する関数やクラスを参照するために使用されます。
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PHPDocを活用するメリット
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IDEの補助機能が強化される
- PHPStormやVSCodeなどのIDEでは、PHPDocを解析して関数の引数や戻り値の型を補完・表示してくれる。
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メンテナンス性の向上
- コードの意図や仕様が明確になり、後から見ても理解しやすくなる。
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静的解析ツール(PHPStan, Psalmなど)と連携できる
- PHPStanやPsalmを使うと、PHPDocをもとに型チェックを強化できる。
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APIドキュメントの自動生成が可能
phpDocumentor
などのツールを使って、PHPDocコメントをもとにHTML形式のAPIドキュメントを生成できる。
PHPDocを使ったドキュメントの自動生成
PHPDocのコメントを使って、自動的にドキュメントを生成するツールがあります。
phpDocumentor をDockerコンテナで実行
事前準備
上記のソースコードを全てtest-doc.php
に貼り付けてsrc
ディレクトリに配置します。
下記の構成になっていればOKです。
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基本的な実行方法
以下のコマンドを実行すると、src
ディレクトリにあるPHPファイルのドキュメントをdocs
フォルダに生成できます。
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💡 オプション解説
-v $(pwd):/data
: カレントディレクトリをコンテナの/data
にマウントphpdoc/phpdoc:latest
: 公式のphpDocumentorの最新Dockerイメージを使用-d src
: ドキュメント生成の対象ディレクトリ(src
は適宜変更)-t docs
: 生成されたドキュメントの出力先
ドキュメントを確認
成功すると、docs
ディレクトリにHTMLファイルが生成されます。
ローカル環境で確認するには、docs
ディレクトリを nginx
などのWebサーバーで公開すれば確認できます。
例えば下記のようにdocs
ディレクトリをマウントしてnginxのコンテナを立ち上げます。
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ブラウザで http://localhost:8000/ にアクセスすると、生成されたドキュメントを確認できます。
下記のようなページが表示されれば成功です。
まとめ
PHPDocは、PHPのコードを文書化するための仕組みであり、IDEのサポートを受けたり、静的解析を強化したりするために役立ちます。
特に LaravelやSymfonyなどのフレームワークでも広く利用されており、チーム開発やコードレビューにおいても非常に重要 です。
💡 ポイント
@param
で引数の型と説明を記述@return
で戻り値の型と説明を記述@throws
で例外を明示@deprecated
で非推奨のメソッドをマークphpDocumentor
を使ってドキュメントを自動生成
PHPでの開発を効率化するために、PHPDocを活用してみてください!