ホロライブが火をつけた!『ゴリラウンコ』爆笑と感動の開発ストーリー

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ゴリラとぺこーら

ゲーム概要とコンセプト

『ゴリラウンコ』は2019年4月8日にSteamでリリースされたインディーゲームです。プレイヤーは動物園の清掃員となり、ゴリラが投げてくるウンコをひたすら避け続けるというシンプルかつユニークなコンセプトの作品です。ゲームのルールは明快で、「可能な限りゴリラのUNKOを避け続けてください」という一つの目標のみが提示されています。避けた時間やウンコの数に応じてスコアが上昇し、オンラインランキングで世界中のプレイヤーとハイスコアを競うことが可能です。価格はわずか100円($0.99)で提供されており、短時間で楽しめるカジュアルゲームとして位置付けられています。

見た目や内容から、本作はいわゆる「バカゲー」「クソゲー」の部類に属すると受け止められました。しかしそのシュールな題材と直球のタイトルから強いインパクトと笑いを誘い、コミュニティでは「神ゲー」との声も上がるほどネタ的な人気を博しました。実際、Steam上のユーザーレビューはリリース当初から好意的なものが多く、発売直後に寄せられたレビュー20件のうち100%が好評となる評価を得ています。プレイヤーたちは本作を「くだらないけど妙にハマる」といった感想で受け止めており、コミカルなコンセプトが奏功してユーザー評価は非常に高い水準を維持しています。

開発者と制作体制

本作の開発元および発売元は「Gorilla Cafe」という名義のデベロッパーです。Steamの情報によれば開発・販売ともにGorilla Cafe自身が行っており、他に発売タイトルも見当たらないことから、個人または極少人数による無名のインディー開発者であると考えられます。開発者の実名や詳細な経歴は公表されておらず、リリース当時もメディア露出やインタビューは確認できませんでした。つまり「Gorilla Cafe」自体が開発者のハンドルネーム的なブランドであり、その正体は明確になっていません。

技術面では、本作はUnityエンジンで制作されています。Unityは個人開発者にも扱いやすいゲームエンジンであり、2D・3D問わず幅広いゲーム制作に使われています。本作もUnity製であることから、比較的短期間・低コストで開発された可能性があります。実際、ゲーム内のグラフィックにはフリー素材が利用されている形跡があります。例えば、ゴリラやウンコのイラストに日本のフリー素材サイト「いらすとや」の画像が用いられていると指摘するユーザーもおり、開発者は市販のアセットや無料素材を組み合わせて作品を仕上げたと見られます。これは無名の個人開発ならではの創意工夫と言えるでしょう。

開発期間について公式な言及はありませんが、ゲーム内容のシンプルさから推測すると制作は非常に機敏だったと思われます。ゲームの基本システム(プレイヤーキャラクターの移動と当たり判定、ゴリラの投擲物の発射と軌道、スコア計算など)自体は比較的小規模で、オンラインランキング機能を含めても数か月程度で完成した可能性があります。2019年3月中旬にはSteamストアページが更新されている記録があり、4月上旬の発売に向けて短いスパンで準備が進められたことが窺えます。

開発の意図とゲームデザインの狙い

開発者が公式に語ったインタビュー等は見当たりませんが、本作の狙いや背景は「単純明快なバカゲーで勝負する」点にあったと推測されます。ゴリラがウンコを投げるという題材自体、動物園などで知られるコミカルなネタであり、現実のゴリラの行動に由来するユーモアです。開発者はこの分かりやすい笑いの要素をゲームの核心に据えることで、誰もが直感的に状況を理解できる面白さを狙ったのでしょう。

ゲームデザイン的にも、プレイヤーが行うことは「左右に動いて落下物(ウンコ)を避ける」だけという極めてシンプルなものです。このような単純な操作系にした理由として、老若男女問わず操作できるカジュアル性を高めたかったこと、また徐々に難易度が上がるスコアアタック型ゲームとして中毒性を持たせたかったことが考えられます。避け続けるほどスピードや量が増していくのか詳細は不明ですが、オンラインランキングまで導入している点から、ミニゲーム的ながら競技性・リプレイ性を意識した作りとなっています。開発者はおそらく、自分の作ったユーモラスなゲームで世界中のプレイヤーがスコアを競い合う光景を見たい、という動機も持っていたのではないでしょうか。

さらに、Steamで配信する際に価格を100円という最低価格帯に設定したことも、開発者の意図を読み取る手がかりです。金銭的な利益よりも「多くの人に気軽にプレイしてもらいたい」という思いが感じられます。実際、この低価格戦略によりネタとして購入するユーザーも多く、本作は発売後じわじわとクチコミで広がりました。ユーザーからは「確かにバカバカしいゲームだが妙にクセになる」といった声や、「こういうノリ嫌いじゃない」といった評価が寄せられ、笑いと娯楽を提供するインディーゲームとして一定の成功を収めました。

発売後の反響と現在の状況

2019年当時は大手ゲームメディアで取り上げられることもなく静かなスタートでしたが、Steamレビューでの高評価やYouTube上のゲーム実況で少しずつ話題を集めていきました。特に日本のインターネットコミュニティでは、「ゴリラウンコ」というインパクト絶大なワードがウケて、ニコニコ動画やYouTubeにプレイ動画が投稿されたり、Twitter上でもネタとして語られることがありました。あるVTuberは配信タイトルに「ゴリラのうんこをひたすらよける神ゲー」と銘打って実況を行い、そのような二次的な発信によってじわじわと知名度を上げていきました。

そして発売から数年後の2025年、本作は突如として特大の注目を浴びる出来事に恵まれます。人気バーチャルYouTuberグループ「ホロライブ」のメンバーたちが、本作を配信企画の題材に取り上げたのです。発端はホロライブ3期生の兎田ぺこらさんが、自身のデビュー6周年企画として「ホロライブメンバーにゲームをプレゼントする」中でこの『ゴリラウンコ』を同僚たちに配布したことでした。シュールすぎるチョイスに視聴者も驚きましたが、ぺこらさん自身「奇跡的に許諾をいただけた」と語っており、事前に開発者から配信許可を正式に得たことを明かしています。彼女は「ホロライブ7年目の一発目はゴリラウンコで行くぺこ‼」と宣言し、2025年7月17日に記念配信でプレイしました。

この配信をきっかけに他のホロライブメンバー(百鬼あやめさんや天音かなたさん等)も次々と『ゴリラウンコ』を実況プレイし始め、瞬く間に本作はVTuberファンの間で伝説的なネタゲームとしてブームになりました。配信中には視聴者から「作者が一番びっくりしてそう。6年前に出した100円ゲーがいきなり売れ出してホロライブから許諾申請くるとか…」といったコメントも寄せられ、誰もが開発者本人が受けたであろう驚きを想像しました。実際、ホロライブ効果で2025年7月にはSteam同時プレイヤー数が急増し、長らく埋もれていた本作が異例の再ブレイクを果たしています。

肝心の開発者から公式な反応は出ていないものの、配信許諾が下りた事実からは開発者がこの突然の盛り上がりを歓迎したことがうかがえます。自身の作品が何年も経て脚光を浴び、多くの人々に楽しまれている様子を、きっと微笑ましく見守っていることでしょう。SNS上では「ゴリラウンコ許諾きたwww」と驚き喜ぶ声や、「これから7月17日はゴリラウンコ許諾記念日だ」と冗談めかすファンまで現れ、本作は一種のカルト的人気を得るに至りました。

まとめ

『ゴリラウンコ』は、無名の個人開発者が放った小粒なインディーゲームが、そのユーモアとインパクトゆえに口コミで愛され、年月を経て大きなムーブメントに繋がった稀有な例と言えます。開発背景について詳しい情報は多くないものの、Unityによる手作り感あふれる制作と、ゴリラ×うんこという突飛な発想から生まれたコンセプトには、「自分の好きなネタで勝負したい」という開発者の遊び心が感じられます。結果として本作は、発売当初からユーザーに笑いと娯楽を提供することに成功し、さらに後年にはVTuberという現代的な現象と結び付いて予想外の形で脚光を浴びることになりました。

ゲームそのものは極めてシンプルでありながら、人々に語り草を残すまでになったのは、ひとえに発想の勝利とコミュニティの力でしょう。開発者にとっても、自らの意図した「バカゲー」がここまで愛される存在になったことは本望ではないでしょうか。今後公式なインタビューなどで制作秘話が語られる機会があるならば、そのユーモアの源泉や開発当時の心境などが明かされるかもしれません。しかし現時点では、ゴリラがウンコを投げ、それを避け続けるという唯一無二のコンセプト自体が、本作のすべてを物語っているように思われます。多くのプレイヤーに笑いを届けた『ゴリラウンコ』は、まさにインディーゲームならではの自由さと創意に満ちた作品と言えるでしょう。

参考出典:


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もふもふ

プロフィール

著者
もふもふ
プログラマ。汎用系→ゲームエンジニア→Webエンジニア→QAエンジニア